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No.003

今日の寝床

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大きなピザ

4月9日
サンフランシスコを出発する。最初の目的地のヨセミテ国立公園までは東へおよそ300キロ。 いちおう一週間ぐらいで着く予定だけど、何しろ無計画なのでさっぱりわからない。

サンフランシスコ市内からフェリーで対岸のオークランドまで渡り、そこから 自転車で走り出す。初めが肝心なので、「よっしゃいくぞー!」 って感じで景気よく走り出したけどそっこー迷った。 オークランドは予想以上に大きい都市だった。 なかなか抜け出すことができない。 いま俺はどこを走ってるんだって感じ。やっぱり都会は嫌いだと再確認する。 とりあえずそこら辺の奴に道を聞きまくる。アメリカにもだんだん慣れてきたせいか、 けっこう図々しく聞けるようになっていた。 ただ、英語なので「東はどっちですか?」とだけ聞いて、あとは相手が指差した方に走るって な感じ。 会話になってねーし。んでまた同じこと聞いて走っての繰り返し。

しばらくは道を聞きながら市街地を走っていたけど、途中で面倒くさくなってきたので 高速道路を走ることにした。というかいつのまにか高速を走っていた。I580でStocktonへ。 アメリカは州によっては自転車も高速道路を走ることができるらしいが、たぶんここ カリフォルニア州はダメだろう。けど、もうどうでもいいや。 雨も降ってきたし。ポリスに見つかるまでこのまま走り続けることにする。 I580はサンフランシスコという大都市が近いだけあって、交通量がめちゃくちゃ多い。 片側5車線ぐらいあった気がする。しかもみんな飛ばしすぎ。少しだけ命の危険を 感じた。

どのくらい走ったのか、気がついたら後にパトカーがいた。ポリスがでてきて、 「ここは自転車はダメだ」とさ。「知ってるっつーの!」と心の中で思った が、ここは知らなかったふりをして素直に謝る。 雨の中、全然楽しくない サイクリングでイライラしていた。そして、ポリスが俺と自転車をパトカーに載せて、 わざわざ出口まで運んでくれた。ホント余計なお世話だよ。 パトカーに乗る前、武器は持ってないか聞かれて ボディーチェックまでされたし。「んな持ってるわけねーだろ!アホか!」と言いたかったけど 我慢した。

その後、ポリスに教えてもらった道を走っていたが、 途中雨が強くなってきたので、そこら辺にあったショッピングモールっぽい所で雨宿りをする。 そして、しばらく休んでいたらもう走る気がなくなってきた。ホント気持ちが萎えてた。 もういいや、今日はここに泊まろう。つっても近くにホテルはなさそうなので 走行初日から野宿決定。ホント自分の無計画さに呆れた。

まだ夕方で人が時々通るが寝袋を広げて横になる。 人目を気にするという神経すらマヒしていた。 少しの間、日記を書いたり音楽聴いたりしながらダラダラする。 そして辺りも暗くなってきた頃、そろそろ寝ようとしたとき、 誰かがこっちに近づいてきた。一瞬、緊張が走った。が、そいつは近くにあったドミノピザの 店員だった。なんでもピザを持ってきてくれたらしい。こんなとこで野宿してる俺が 哀れにみえたのだろうか。「ジュースは何がいい?coke or sprite?」と聞かれたので、 遠慮なく「じゃあspriteで」と答えると、わざわざ店まで取ってきてくれた。 どうもありがとうございました。

今日はつらかった。体力的にじゃなくて精神的につらかった。 雨の中、迷うわ、ポリスに捕まるわ、挙句の果てに野宿することになるわ 、もうホント最悪だった。 走行初日ですでに横断をあきらめようとも思った(←早っ)。 けど最後に人のやさしさに救われた。本当にありがたかった。 特に気分が沈んでいる時だからこそ、親切が心に 染みわたってくる。雨に打たれて冷え込んだ心と体が温かくなった気がした。
アメリカで最初に触れたやさしさは 大きな大きなピザだった。